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ブックレビュー「アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ」

こんにちは。ツマとオットとキャットのブログ、つもっとキャットです。

新年早々にずっと寝込んでいるせいで、読書だけははかどります。寝ていればわりと大丈夫なので暇なのです。積ん読はたくさんありますが、紙の本だと重くて読みづらいのでKindleで。Kindle最高。

今回読んでいたのはアイヌに伝わる物語です。

 

アイヌ語研究の第一人者である著者が、祖母や村のフチから聞き集めたアイヌと神々の38の物語を読みやすく情感豊かな文章で収録。 主人公が受ける苦難や試練、幸福なエンディングなど、ドラマチックな物語を選りすぐった名著、初の文庫化。

ヤマケイ文庫 アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~ | 山と溪谷社

 

本の冒頭でアイヌとは?ウウェペケレとは?といった説明があります。アイヌ文化に触れたことがなくてもなんとなくイメージを掴むことができます。そのあとで38のウウェペケレがひたすら続きます。

ウウェペケレは日本語で昔話と訳されますが、著者も述べているように、単なる昔話というよりは生活の知恵とか、自然との付き合い方とか、アイヌの神々との生き方とか、そういったものが盛り込まれていました。

日本人が慣れ親しんでいる昔話はたいてい「むかしむかし、あるところに…」で始まって「めでたしめでたし」で終わるものが多いです。ウウェペケレもよくある形というものがあり、「わたしは父と母がいて○○に住む若者です」と始まり、「だから、こういうときにはこうしなさい、とひとりの老人が語りながら世を去りました」で終わります。日本語の感覚では一人称で始まっているのにどうして最後に老人が…?と不思議でしたが、そういうものだと思えばどうってことはありません。

それぞれのウウェペケレには解説がついていて、この行動はこういう意味があるとか、この神はこういう種類だとか、簡単な説明をしてくれます。なぜ最後に老人が出てくるのかも説明がありました。それが38もあるので、この本の情報量は結構なものになります。民族を知るには民話から入れというのはあながち間違いではなさそうです。

おもしろかったのは、人と神との関係でした。日本で神というと八百万の神キリスト教の神あたりをイメージすることが多そうです(仏教は神とちがう)。アイヌの神は多神教…というのかわかりませんが、自然界に存在するものすべてに神がいるようです。動物も神らしい。ウウェペケレの中で神が人間に悪さをしたり神の役目を怠ったとき、人間がこの神を叱ることがよくあります。不思議です。神というと逆らえないものだったり、従わなければいけないものという印象がありましたが、アイヌは神々と共存しているようです。

アイヌに詳しいわけではないので正確なことはわかりませんが、神も神から怒られたり、神の国に帰れないようにされたり、神って大変だなあとかのんきなことも思いました。

ひとつひとつの物語は数ページと短いので、一気に読むもよし、少しずつ読み進めるもよし。アイヌ語の単語がそのままカタカナで出てくるので読みにくい部分もありますが、日本語も毎回書いてあるので、難しいことは考えずに読み飛ばしても大丈夫。わりとすぐ慣れます。

 

ところで、「アイヌ」で適当にググってみたところ、こんな施設のサイトが出てきました。

ainu-upopoy.jp

民族資料が展示してある博物館は結構好きなのですが、ここって登別に近いんですね。アイヌ関連の施設はほかにもたくさんあるようですが、入浴剤のせいで登別温泉に行ってみたいと前から思っているので、行くときはこの施設に立ち寄ってみたいです。これは良い場所を見つけました。北海道はロマンだ。

 

 

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