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ツマとオットとキャットのあれこれ

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ブックレビュー「アンジュール ある犬の物語」

最近本のことを書いていないなと思いまして。いろいろ読んではいましたが、記録(記憶)しておきたいと思うほどのものがあまりなくて。

今回紹介するのは絵本です。Twitterで流れてきたのを見て図書館で借りてきました。図書館最高。

1986年初版で古い本なので、購入するのは難しいかも。みんな図書館へ行こう。

と思ったら普通にAmazonに売っていました。

出版社のサイトにもちゃんと載っているので、絶版にはほど遠いようです。

 

ある日、犬は、野の道を疾走する車の窓から投げすてられる。にわか野良になった犬のその日の長いさすらいをたどって描く。目を吸いよせて離さない50を超える犬の姿態と表情はすぐれたデッサンにより酷いばかりの迫真である。あるいはひとりに秘めておきたい絵と思い、誰かに見せずにはいられなくなる作品でもある。

https://www.blg.co.jp/blp/n_blp_detail.jsp

 

文字通りの絵本というか、鉛筆のデッサン画のみでできている絵本です。デッサン画のみですが、ちゃんとストーリーはあります。

捨てられた犬が必死に追いかける様子、とぼとぼと歩いている様子、その後のいろいろな出来事が鉛筆だけで表現されています。

対象年齢はどこにも書いていませんが、少なくとも読み聞かせを必要とする年齢の子供向けではなさそうです。

まだ文字がない絵本を見ている子には話が難しすぎるし、黒一色なので興味を引き立てられそうにありません。

文字のある絵本を読み聞かせてもらっている子には、そもそも読み聞かせる文字がこの本にはないので、大人は非常に苦労するでしょう。状況を説明したり、一緒に考えたりすることはできますが、それができるのは読み聞かせ年齢よりも年上の子になりそうです。

子供が読むとしたら、絵本よりもう少しレベルアップした本をひとりで読める子が、すべては理解できないにしても「うーん?」と悩んだり、「この犬は何をしてるのかな?」と考えながら読む(というか見る)のに適しているのではないかと思います。

まあ子供なので、「なんだか雑な絵だなあ」くらいの感想でもいいかな。

というわけで、むしろ大人向けの絵本です。

 

最後のシーンは人によって見え方が違うんじゃないでしょうか。

巻末の解説では「胸があたたまる」とされていますが、ツマにはまだ何も解決されていないように見えました。これから犬はどうなるのか、子供はどうするのか、話の続きは描かれていません。

読む人次第で、違ったお話になりそうです。

 

ちなみに原題は「UN JOUR, UN CHIEN」。作者がベルギー出身なので、おそらくフランス語。フランス語でこの単語を調べてみると、「ある日、ある犬」という意味が出てきました。日本語訳ではアンジュールという名の犬の話のようなタイトルになっていますが、実際はサブタイトルの「ある犬の物語」のほうが原題に近いということですね。

「ある日、ある犬」「ある犬の物語」だけでも良いような気はしますが、翻訳者はアンジュールの音を残したかったんでしょうか。アンジュールが犬の名ではないことはわかりましたが、このタイトルのおかげでちょっともの悲しい雰囲気が残るように感じました。

最後に一言。 犬を捨てるんじゃねえ。

1986年頃のベルギーの様子はまったく知りませんが、日本では平気で捨てていたでしょうね。

何度でも言う。生き物を捨てるんじゃねえ。