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ブックレビュー「プラチナタウン」

こんにちは。ツマとオットとキャットのブログ、つもっとキャットです。

今回はおもしろくて一気読みしてしまった小説を紹介します。Prime Readingで読みましたが、これは買っても良いと思えます!

 

 

「老人介護」や「地方の疲弊」に真っ向から挑む社会派ビジネス小説! 出世街道を外された総合商社部長の山崎鉄郎(やまさきてつろう)は、やけ酒を呷(あお)り泥酔。気がついた時には厖大な負債を抱えた故郷緑原町(みどりはらちょう)の町長を引き受けることに。だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。そんな困難に挫(くじ)けず鉄郎が採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だったのだが……。

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主人公は総合商社で働くエリート…と思いきや、冒頭で大失敗をやらかします。限界集落の町長になってしまったのも、ひょんなことから、なんてことばがぴったりです。お堅いビジネス小説のように見せかけた、テンポの良い町おこしストーリーです。

商社で身につけたスキルと人脈を頼りに、借金まみれの田舎町を再生させるべく奔走します。田舎にありそうなトラブルが一通り起こる一方で、軌道に乗り始めるとトントン拍子で進むので一気に読み進められます。トントン拍子すぎてあっけない感じもありますが、エンタメ小説だと思えば全然ありです。

町の人口を増やすために老人施設を作ろうという逆転の発想。現実にもあるような、ないような、あるような?「健康なうちに入居に踏み切れる魅力的な施設」の計画を立てているシーンは、本当に魅力的に見えました。ツマはよく老健に顔を出します。そこの生活も悪いものではないのでしょうが、今の自分が暮らしてみたいか?と聞かれたら、答えはNO。基本的にインドアなので外出に制限がかかる点は気になりませんが、施設内で提供される簡単なレクリエーションをこなしながら1日を過ごすというのは性に合いません。もっと身体が動かなくなってからはわかりませんけど。

その点、この小説で作ろうとしている施設は、定年退職から間もない人が夫婦や家族で楽しんで暮らせるような場所を目指しています。サ高住に分類されるものだと思います。でも一般的なサ高住は、1R~1LDK程度のマンション風の施設です。ところがこの施設は2LDKが当たり前。共有スペースとしてショッピングモールやアウトドア、ディスコまであります。身体が動く限りは楽しんで暮らせる場所になりそうです。その分お金もかかりますが、家を手放してしまえばつもっとも入れるかもしれないくらいの金額です。住んでみたい!

3万坪の平地というのがどのくらいかよくわからなかったのですが、調べてみたら近隣のイオンモールが約4万坪でした。この広さなら実際に作ることもできそうですけど、難しいんでしょうか。

最後のほうでよからぬことをたくらむ人に、新しい住民がそろって抗議をするのも良かったです。今後もみんなで町を作っていくんだという気持ちが伝わりました。

宮城県の方言がバンバン出てくるのは、馴染みのない人にとっては読みにくかったりするんでしょうか?ツマは東北に縁があるのでむしろ懐かしさを感じながら読みました。

しかしこの本は初版が2008年だそうで。読んでいる途中でなんとなく気付きましたが、まだ東日本大震災が起こっていないんですね。せっかく作り上げた町が、震災後にどうなったかが心配になりました。

 

 

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