連休のタスクがいくつかありましたが、ひとつは達成したものの他は準備不足で進まなくなってしまったので、最近聞いた本を紹介します。Audibleで通勤中に聞きました。
２６歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して――。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き堕とす！ 第３７回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。
人によってかなり好みがわかれる話だと思いました。
先に結末から言ってしまうと、収拾がつかなくなるほどしっちゃかめっちゃかに状況を悪化させて、どーすんのこれ？？と思ったあたりで全部ぶっ壊して全員死亡で終わり、みたいな（実際には全員は死亡していませんが、イメージとして）。
運転中にひとりで「は？？？」とか言ってしまいましたが、終わってからレビューを見ていたら、それが良いと言う人もわりといるようで、そういうもんかと納得はしたものの、これは好き嫌いが分かれるでしょうねえ。
えええ、この状況どーすんの？？とハラハラを楽しむのもありですが、あんまり共感はできませんでした。いやまあ、ミステリーとかサスペンスというよりも犯罪小説なので、共感しまくるのもどうかという話なんですけど。
真面目＆優しいが取り柄の主人公が、別の担当者のケースとはいえ（擬似）恋愛関係に陥ることになり、この主人公は真面目でも何でもなかったというのが発覚。このあたりでかなり萎えましたが、そこまで聞いてしまった手前、途中でやめるのも癪で最後まで聞いてしまいました。
唯一人間味があったのは山田ですかね。クソなのには変わりないんですけど、更正してほしかったなと思う人物です。「ここには俺以外にまともな人間がいない」は珍しくまともな発言でした(笑)
一番の被害者はミソラなんだろうか？子供が被害を受けるのは許せないと山田ですら言っていましたし。アイミも、愛せないとは言いつつもどうにか守ろうとはしていたし、最初の頃は衝動的に暴力を振るったりもしていたけれど、確かに虐待ではあるんですがちょっと違うような…。
リカとチンピラのボス（名前忘れた…）がクズなのは見たとおりですが、主人公の佐々木も大概です。アイミに裏切られたのがショックにしても、そのまま覚醒剤に堕ちるのはあれは本人のせい。建前だとしてもあからさまな強要はされなかったはずなので。
ちなみにMDMAなどの違法薬物は所持と使用で法律が分かれており、知らずに投与されていた場合も含めて定められているので、アイミの裏切りが発覚した時点で警察に通報or出頭していれば佐々木が有罪になった可能性は限りなく低いです。みんなが心配していたのがむしろそこだし。なのに自暴自棄になったのは佐々木の責任。…ってあのボスなら言うでしょう。
ラストはどうなんでしょうね？乱痴気騒ぎの後の、エピローグのほうです。
佐々木は覚醒剤で記憶もあやふやになったまま1人で暮らしているっぽい？何年か経っていて、一応治療はしたようです。アイミがどうしているかは不明ですが、少なくともミソラは忘れずにいてくれるみたい。みたいですが、子供にはトラウマ過ぎない？まともな生活ができていると良いのですが。
佐々木に暴言を吐くケースワーカーはどういう心境なんですかね。端から見ればまだ30代くらいの男性が生活保護を受けているなんてけしからんとなるのかもしれませんが、担当ケースワーカーなら佐々木がシャブ漬けだったことも知っているはずで、その上で怒鳴っているのか？障害者支援を紹介しても佐々木が拒否したからキレているのか？それともあのケースワーカーも佐々木のように壊れていたのか？あの辺はちょっとよくわかりませんでした。
生活保護の不正受給にまつわる悪事に巻き込まれた話ですが、自殺した母子（名前忘れた…）しかりラストの佐々木しかり、ああいう普通の人（佐々木が普通かはさておき）を罵倒するシーンはちょっと避けてほしかったなあ。
朗読は男性でした。それで、すっごく申し訳ないのですが…リカのセリフがやたら気持ち悪くて…。読んでいるのが男性なので限界があるのは重々承知ですが、それでもリカが出てくるのが苦痛で苦痛で…。アイミと宮田は普通だったのですがリカだけが…。すみません…。
